Thursday, May 16

ガラパゴスJAPAN

アメリカには多くの日本人が観光に訪れます。
あれだけ多くの人がアメリカの地に訪れていたのであれば、もっと考えや行動がグローバル化してもいいと思うのですが、あまりそういう印象はありません。ここ最近ハロウィーンを祝う現象が起きていますが、それはもちろんグローバル化のカウントには入りません。

実際私がアメリカで見かけた日本人観光客は日本の習慣をアメリカにそのまま持ってきて過ごしているように見えます。日本語ガイドブックを握りしめてグループで行動し、日本語だけで完結しようと行動する。これは十年前にLAで見た光景と今年シアトルでみた光景はほぼ一緒でした。その姿はまさにガラパゴス。日本人同士のみで行動して決して現地の人と接しない、コミュニケーションの鎖国してる状態です。別に絶対に現地に同化しないといけないというルールは無いですが、やはり夏の西海岸は短パンTシャツなんですよ、長袖長ズボンじゃないのです。

シアトルには日本からの観光客だけでなく、色々な国からも観光に訪れます。僕が目にしたのは、ドイツ、フランス、インド、マレーシア、中国。中国人以外の観光客はお店の店員と問題なくやりとりして自分達だけの殻に閉じこもっている印象はありませんでした。

その理由は彼らは基本的に英語でコミュニケーションが取れるので、話しかけられても対応できるし、わからないことも自分で質問して解決できます。だから、特に違和感を感じませんでした。僕も実際、マレーシアから来てた観光客と言葉を交わしました。ぱっと見て観光客と分かりますが、凄くオープンな印象でした。

確かに、観光地に訪れたり買い物をしたりするだけなら、ガラパゴスでこなせると思います。でも、その土地を感じたり、生活を体験したりすることは不可能です。現地の人はアジア人の外見である我々にも気さくに声をかけてくれます。カッコイイスニーカーを履いてたら、「どこで買ったの?」とか、「無くさないようにしなよ」とか。それを返答することによって人とも触れ合うこともできるし、情報交換できることもあります。朝スーパーに行って、夕方にも行けば、「朝も来なかったっけ?」って声をかけられます。

実際にどういう生活をしてるのかとかは、バーで隣で飲んでいたビジネスマンと話したり、スニーカーショップの店員にオススメを聞いたり、床屋に昨今の町の事情を聞いたりして知るものだと思います。そこで、「やっぱりアメリカがいいな」、「日本の方が合ってるな」、「アメリカ人はこういう風に振る舞うのか」、「アメリカではこういうものが流行っているのか」といった事を学んで、お土産話として、友人や家族に伝えていくものだと思います。

それにはズバリ英会話力が必要です。でも、ただ単にちょっとした会話力があるだけで、全然違った見え方ができるますし、行動範囲は広がります。電車の切符の買い方がわからなくても、人に聞く事ができます。せめて、お金のカウント、トイレの場所の聞き方、自己紹介、家族紹介はできるようにするのはある意味、日本人が海外に行く際のマナーだと思います。

このガラパゴスな光景はハワイが一番ひどいかもしれません。日本語だけでやっていけると言われるハワイ。でも、実際にはアメリカ本土からやその他の国からも観光客は遊びに来ています。ちなみにハワイで日本人が日本人以外と話をしているのをほとんど見なかったです。

でも、微笑ましい光景もありました。マリナーズのキャップとジャージで帰国した語学研修らしき女子高生、スーツケースにNYステッカー大量に貼り付け、全身ヤンキースで帰国したカップルを見ると、向こうの文化を楽しんできたんだなーと思いました。彼らが現地の人とコミュニケーションをしてきたかまでは言い切れないですが、少なくともガリガリに影響を受けて帰国しているので、それはそれで素敵な事だと思います。

こういった事がガラパゴスの始まりな気がします。せっかくアメリカに興味があるから高いお金を出して遊びに行っているのだから、人とコミュニケーションをとった方がもっと知れると思います。英語ができないから話さない。わざわざ選手の名前もカタカナにしないといけないスポーツ中継。吹き替え版の映画やドラマ。通訳がいる代表監督。こうやってどんどんガラパゴス化を積み上げていくんだろうなと心配になる今日この頃です。